『太一〜UFOに乗った少年』Blog

宝生明のファンタジー「太一〜UFOに乗った少年」と現実

『太一〜UFOに乗った少年』への感想文

先日、以下のような感想文をいただきました。ご本人の許諾を得て、こちらに転載いたします。

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宝生明さま

こんにちは。
先日、「太一~UFOに乗った少年」を読了しました。
すごく良かったです!!

僕は環境問題に関する仕事をしていますが、(この仕事をしていながら言うのもナンですが)誤解を恐れずに乱暴に言うと、本音では地球が温暖化していてもしていなくても、どちらでも良いと思っています。
人間は自分が所属する家族、仲間、コミュニティ、国家などの中では喧嘩もしますが、その外に対しては団結するところもありますよね。
そうやって、より大きな存在に対峙したり、枠組みの外からの危機に迫られないと本気にならない所があるので、僕は「環境問題」という人類共通の危機に皆で対応する事で、世界中の人々が「自分本位の視点」から「人類連帯の視点」を意識する事が出来ないだろうか?そうなれば世界がもうちょっと優しくなるのではないか?という希望を持って、この仕事をしてきました。(現実は、あまり理想通りにはいっていませんが)

ちょっと大上段に構えた偉そうな事を書きましたが、僕は無宗教で無党派で、他人に腹が立ったりもするごく普通の人間ですが、でも上記は僕の本音で、仕事の裏テーマでした。(表のテーマは環境・社会に貢献する)
このような僕のライフワークとも言えるテーマに、「太一~UFOに乗った少年」のメッセージが一致している気がして、とてもよかったです。

また、僕は地球や宇宙の話が大好きです。
天体の運行には秩序がありますが(なぜそういう動きなのかは分からないけど)、地球も天体の運行ルールの中に完全に組み込まれた星の一つなので、地球の表面で生きている僕たちも、宇宙のルールやメッセージに素直になれば、必ず物事はうまく運ぶ、というのが僕の信念です。
この点でも、太一君たちの素直な生き方と、僕が考えていた事(実践できているかは怪しいですが…)が一致している気がして、嬉しかったです。

ちなみに、僕の大好きな小説に、パウロ・コエーリョ著「アルケミスト」がありますが、この中で、主人公のサンチャゴ少年に謎の老人が白い石と黒い石(「ウリム」と「トムミム」)をあげる、という場面があります。
「太一~UFOに乗った少年」でも、太一君がUFOに乗った翌日横須賀基地に連れていかれ、その晩に見た夢の中で、おじいちゃんから白い玉と黒い玉を手渡される、という場面がありましたが、何か関係ありますでしょうか?

長文になりまして失礼しました。
素敵な本を書いてくださってどうもありがとうございます。
レゾナンスCafeにもまた参加させていただきたいと思います。

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「アルケミスト」は20年ほど前に読んでいます。あらすじは覚えていましたけど、細かいところはすっかり忘れていました。「太一〜UFOに乗った少年」を書いてから、あるきっかけがあって再読しました。そこで「ウリム」と「トムミム」の下りを見つけ、僕も似ているなと思いました。でも、それは偶然だと思っていました。

こうやって指摘していただき、もしかしたら偶然ではなかったのかもしれないと思うようになりました。実は僕は一度だけパウロ・コエーリョさんに会っています。いろんなお話をいたしました。そのとき「アルケミスト」の主人公の名前についてこんなことをおっしゃっていました。

「サンチャゴという名前は、ヘミングウェイの「老人と海」の主人公の名前でもあるんだよ」

そのときは「そうなんだ」としか思いませんでしたけど、あとで思い出すと名前を一緒にしたのはなにかの隠喩だったんじゃないかと思うようになりました。「老人と海」が聖書の隠喩であることは有名な話です。とすれば、「アルケミスト」もそれに近いものかもしれません。

僕の場合はそれを意識して書いたわけではありません。しかし、僕の興味に従って書いたものなので、まったく無関係というわけにもいかないでしょう。いってみれば僕の無意識がそう書かせたのかもしれません。ただやっかいなのは、それが無意識の産物かどうか、証明する方法がないことです。

アルケミストパウロ・コエーリョ太一~UFOに乗った少年

宝生明 • 2016年5月26日


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